電動オナホール

電動オナホールとの出会いと不思議な妄想

電動オナホールとの出会いと不思議な妄想。
先日大阪に行ったらドン・キホーテに良さそうなオナホールがあった。しかし残念ながらコンドームの陳列棚の前にあって、しかも売り切れていたので購入はできなかった。ちなみにその時の僕にはコンドームを使うような相手はいなかったが、そんなことはどうでもいい。
なぜこの話をするかと言うと、僕は今、そのオナホールを目の前にしているからだ。「……」
場所はホテルの一室である。
ツインベッドが置かれたシンプルな部屋だが、窓の外に広がる夜景も綺麗だしバスルームも広くて使いやすいし何より室内に置いてあるアメニティ類の充実度が高い。僕一人で泊まるには贅沢すぎるほどのホテルだった。
そして、ここにいるもう一人の人物こそが僕にとって最大の問題なのである。
「……なあ」
僕は隣りに立つ女性に声をかけた。
「なんですか?」
彼女もまた僕の方を向く。ただし視線だけは真っ直ぐ前を見つめたままだ。
そう。彼女は人間ではない。ロボットなのだ。名前はHAL坊というらしい。
「お前って、こんなことまでできるのか?」
HAL坊は答えない。ただ黙々と部屋の中を行ったり来たりしているだけだ。もちろん二足歩行ではなく四足歩行モードである。
僕たちは大阪のビジネスホテルにいた。仕事の都合で一泊することになったのだが、当然一人用シングルの部屋を取るつもりだったのだ。ところがチェックイン時にフロント係から告げられた言葉が衝撃的すぎて、気がつけば二人分の宿泊費を支払っていた。
「どうしてこうなった……」
頭を抱えてうずくまりたい気分だったが、あいにく両手は塞がっている。右手には買ったばかりのオナホール。左手にはビール缶。中身はもちろんアルコール分ゼロのやつだ。
「これ、どういう仕組みになってるんだろうな?」
「私にも分かりませんね」
ようやくHAL坊が口を開いた。抑揚のない機械音声みたいな声だ。
「まぁいいか。せっかくだから試してみようぜ」
「了解しました」
僕はソファに座ってテレビをつけた。画面ではちょうど深夜ドラマが放映されていた。いわゆる大人のビデオといった感じの内容で、女優さんが全裸のままベッドの上で絡み合っているシーンが流れ始めた。
「……」
少しだけ罪悪感を覚えつつ、ビールを一口飲む。喉越し爽やかなノンアルコール飲料のはずなのに、なぜか苦い味がした。
それからしばらくドラマを眺めていると、HAL坊の動きに変化が現れた。それまで同じ場所をぐるぐる回っていただけだったのに、今度は四つん這いの姿勢になったまま床の上を走り出したのだ。しかもそのスピードたるや尋常じゃない。まるで本物の犬みたいだった。
「おい!」
僕は慌ててリモコンを手に取った。テレビの電源を切る。「何やってんだよ? いきなり走り出すんじゃねぇよ」
「申し訳ありません。ですがその方が面白いかなと思いまして」
「そういう問題じゃねえだろ! こっちは真面目に訊いてんだぞ!」
「申し訳ありませんでした」HAL坊は再び歩き始める。その動きに合わせて長い髪もふわふわ揺れていた。ロボットにしてはかなり自然な仕草だ。
「……ところでお前ってどうやって充電するんだ?」
「バッテリー残量が少なくなってきたらケーブルを差してください」
「それだけ?」
「はい」「それなら別にコードレスでも良かったんじゃないか?」
「いえ、できれば有線でお願いします」
「何だよ有線って……。よく分からん奴だな」
「ありがとうございます」
「褒めてねえよ」
会話はそれっきり途絶えてしまった。再び気まずい沈黙が訪れる。